sea

カチカチ,価値,私は薄汚れた海の底文字以外の価値を見つけてしまった

 

減る数値,やせ細る四肢,ディオールの香水,黒いドレス,シャンパン,Rエリカ,打ち込む言葉,そして言葉のチューイング

 

海で溺れている,それは汚れた海,水面に漂うガラスの瓶に血が付着していたり,割れていたり

 

そう,私は海の中で文字を書いていた,カキカキカキ,下記,汚れた海の中で一体何が起きているのか「help」のその一言,割れている瓶の中から文字が流れ出て,揺蕩う,「help」たった一言のその文字はどこへも辿り着かず,藻屑となって消えていく

泡沫が眩しくて目を細める,私の口から発する泡までもが水面に出ていくというのに,私は海底にとどまったまま,誰かの助けを待っていた,その中で「help」以外の文字を書いてみようと思った

 

カキカキカキ,寂しさ,美しさ,悲劇,トランジェスタ,その中に潜む美しさを存分に引き出せていた,そして,私はその美しい文字たちを泡に乗せていた,とても心地が良かった,それでも,結局はとても辛かった,言葉を紡ぎだすたびに,寂しくなった,悲しくなった,汚れた海に光が差し込んだ,私は人魚姫になっていた,急いでドレスを破り捨て,貝殻を投げ捨ててその光に向かって泳いだ,泳いだ,泳いだ,私に差し伸べる手が,見えたから

 

海が好きだ,私は海で彼にすべてを打ち明けた,私は泣いていた,彼も泣いていた,カチカチカチ,私はもう文字を書かなければならないような理由がなくなった,カチカチカチ,価値,それでも,引き寄せられるように指がピアノを弾くかのように動くようなものだから。